スッポンは体力の衰えがある動物に最適な食材です。
スッポンの特徴や使う際の注意点をまとめていきます🐢
性質
五性:平 五味:甘 帰経:肝腎
主な適応
体力低下、老化、不眠、消渇、リンパ節の腫れ、虚労、慢性の下痢など
主な作用
- 免疫力向上
スッポン含まれる多糖は免疫力を高める作用があります。 - 血行をよくする作用
スッポンの多糖は血液循環を改善する作用があります。 - 抗ガン作用
スッポンの血清の中には、ガン細胞を抑制する力がある成分が含まれています。しかし、この成分は熱に弱いため、あまり加熱せずに摂取する必要があります。
スッポンの生き血は感染症などの恐れもありますので、摂取したい場合は信頼が出来るところから入手した時にしましょう。 - 疲労回復作用
スッポンの多糖は筋肉の収縮力を高め、疲労に対する耐性を高める働きがあるので、疲労回復に良いとされます。 - 血中ヘモグロビン増加作用
スッポンの甲らから抽出されたゼラチンは血中ヘモグロビンを増やしますので、貧血の場合や血虚の場合にオススメされる食材です。
東洋医学的な効能
腎陰虚証、腎精不足、血虚証に。
滋陰、益腎、補虚損、益気、清虚熱、止瀉
性味
四性が平である事から、身体の冷えや熱さに関わらず使える、取り入れやすい食材です。
五味が甘である事から、脾胃を整え、気や血を補ってくれる食材です。身体の強張りを緩める作用があります。
甘味の平性は、体を滋養して微熱を収めます。そのため、もともと血や津液不足により微熱のある「陰虚」の場合にはとても良いです。また、血行をよくする働きがあるため、気滞や瘀血がある場合にも良い食材です。
帰経
肝
肝は東洋医学では血液の貯蔵や血流量の調整をする臓です。そのため、血虚証に効果があり、血行の促進に繋がります。血には栄養だけでなく水分、津液も含まれていますので、結果として肝を補うことは、血だけでなく、身体に潤いをもたらす事に繋がります。
また、血だけでなく、気の流れにも肝は関与しています。気の流れが滞ると、免疫力の低下が起こります。そのため肝を補うことは免疫力の向上にも重要なのです。
腎
腎は気や精の貯蔵を行います。そのため、腎が衰えると身体全体が衰えやすくなります。
また、水分の排出にも関わるので泌尿器にも影響が出てきます。高齢期になってからの頻尿や尿漏れなどが見られる場合にオススメしたい食材です。
特徴的な栄養成分
- コラーゲン(皮膚改善、関節炎緩和)
- コンドロイチン硫酸(関節炎緩和、皮膚機能維持)
- 多糖類(免疫力向上、抗ガン作用)
コラーゲンやコンドロイチンは、特に甲羅の縁に豊富に含まれています。コレステロール値を下げてくれる作用がある、リノール酸も含まれています。
コラーゲン
スッポンは、特に甲らにコラーゲンが豊富に含まれています。コラーゲンは動物の結合組織・関節に多く含まれるタンパク質ので、加熱するとゼラチンになります。コラーゲンは体の形成や再生に不可欠で、コラーゲンが不足してくると毛並みが悪くなったり、肉球が割れてきたり、鼻先の毛が薄くなったりします。
さらに、機能の活性を促し皮膚や骨、目の老化を防止し、血管の弾力を守り丈夫にする働きもあります。また、ガン細胞に対する免疫強化に役立ちます。
多糖
多糖は十個以上の単糖が結合した糖で、植物や動物など多くの自然食品の中で数百もの種類があります。多糖類には様々な効能がありますが、いずれも身体の機能を高め、免疫力を高める働きがあります。
また、老化を防止し、疲れを解消し、さらに抗ガン作用もあると近年注目されています。スッポンが身体に良い、身体を強くすると言われている理由は、この多糖が強く関連しているのでは、と指摘されています。
注意するべき食べ合わせ
豚肉や鶏肉、鴨卵と一緒に食べてはいけません。また、香辛料と一緒に食べると皮膚の炎症が治りにくくなる、などと古い文献には記載されています。注意しましょう。
また消化しにくいため、食べ過ぎると胃腸の負担になります。体内に痰湿があったり、水滞による消化不良がある場合は注意しましょう。
スッポンは血栓を溶かして血行をよくする働きがありますが、胎児に悪影響を与える恐れがあるので、妊娠している場合は避けましょう。
桃とスッポンを一緒に食べると胸痛などの症状を引き起こすことがあるので、一緒には食べないようにと古い書籍には記されています。サプリなどを併用する場合は注意して見てみましょう。
動物へ使う時のポイント
スッポンは多くのアミノ酸やミネラル、更にコラーゲンやビタミンDも含んだ、非常に栄養価の高い食材です。毎日少しずつ摂取すると、体力の回復に非常に良いとされています。しかし、体が虚弱でない、元気な場合は食べ過ぎると消化不良を起こす恐れがあるので食べ過ぎには注意しましょう。
スッポンの血の効果は高温加熱で失われてしまいますので、生で摂取するか、温かいお湯やスープなどと一緒に摂るといいですね。犬や猫は肉や血を摂取する事に抵抗がない動物ですが、猫は古くなった物は口にしません。与えるなら、嗜好性の面でも、衛生面でも新鮮なものにしましょう。
甲らのコラーゲンを摂るためには、弱火でじっくり煮るとコラーゲンがスープに溶け出すので、そのスープを用いるとよいでしょう。
スッポンの部位ごとの効果
スッポンは身体だけでなく、多くの部位が栄養豊富な食材になっています。
スッポンは身体の部位により五性が異なり、スッポンの肉は「平性」で、甲羅は「寒性」になります。身体が冷えている時に甲羅を用いるのはオススメしません。
スッポンの煎じ汁を飲むと肝臓を滋養して肝の働きを強化してくれます。これにより、体力がつくと言われ、肝臓腫大や空咳にも効果があります。
甲羅
スッポンの甲らは「鼈甲(べっこう)」という漢方薬になります。背の部分の甲羅を乾燥させたものは、主な成分は動物性膠(にかわ)です。
解熱、強壮作用があるといわれ、様々な漢方薬に配合されています。
生血
補血剤としての効果があり、心臓病や下痢や便秘、嘔吐などの消化器症状、食欲不振、肺疾患、貧血等に効きます。
卵
一般的な鶏卵と比べるとカロリーが低く、ダイエット中の動物にもオススメです。
またDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)も多く含んでいるので、良質な油分を摂取でき、コレステロールも減らしてくれます。
豆知識
スッポンは耳がないため目で声を判断することしかできません。
スッポンは蚊に弱く、刺されると死んでしまいます。しかし、スッポンの甲らを焼くとその煙は蚊を殺します。互いに相容れない関係とはこういう事を言うんですね。
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