ここでは薬膳やマッサージの基礎知識となる東洋医学の考え方をまとめています。基礎からしっかり学び、『そんなこと知らなかった!』という落とし穴にハマらないように。またその子に合ったベストな方法を選べるようにしてもらえたら嬉しいです。
養生
養生とは字の通り、生命を養うことです。そして漢方・薬膳や東洋医学などを考える上で最も大事な考え方です。養生していく事は、日々自分の心と体によいことを積み重ねていくこととされます。大切なのは自然と調和し、周りの環境や自分の身体と心に向き合って生きていくことなのです。
身体の不調だけを改善すれば良いということではなく、ストレスや不安などの心の問題や、生活している環境の問題とも向き合い、日々過ごしていくということ。たったこれだけの事。しかし、これがシンプルだけど難しいことなんです。
季節や天気と同じように、体調や気持ちも変化していきます。少しずつでも良いので養生を積み重ねていきましょう。
人と動物の考え方の違い
まず、東洋医学は先述した通り、心や体、また周りの環境などが影響し合い、体調を作っていくという考え方です。人は会話が出来るので気持ちの問題や環境の問題を話すことができるので、改善しやすいのですが、動物はそれが出来ないというのが大きな違いで、かつ一番難しいところになります。
例えば、動物の性格はお父さんが思っている性格とお母さんが思っている性格が一致していない場合もありますし、良かれと思ってやっていることが逆効果にしてしまっていることもあります。
更に動物のストレスは、飼い主さんがストレスを貯めている時に増えているという報告もあります。飼い主さんが気持ちが不安定な時はペットの気持ちも不安定になりやすいんですね。ペットの体調を気にするのは勿論大切なことですが、家庭内の環境を整えるということも大事になります。
陰陽五行説など基礎知識
漢方の基本的な考え方の中心には「陰陽五行説」という考え方があります。この陰陽五行説は「陰陽論」と「五行説」の2つから成り立っています。
これは先人の素朴な自然観察に基づいて生み出されたものであり、自然の原理原則をとらえたものです。自然のなかで生きている人間が健康に暮らすためには、自然のことを知り、身体のバランスをとって周りの環境と調和することが大切という考え方です。これが薬膳・漢方の基礎になっています。
陰陽論
陰陽論は「すべてのものは互いに相反する2つの性質をもっている」という考え方です。
このマークは有名なので一度は目にした事があるのではないでしょうか。
これは陰陽論を表したもので、全ての物は陰(黒)と陽(白)に分けられる、しかし全て完璧に陰、陽であるものは無い。黒の中には白が(小さな白マルの事)、白の中には黒が(小さな黒マルの事)あるものだ。という意味になります。
陽は明るく温かく活動的なもの、陰は暗く冷たく穏和なもののイメージです。
陰と陽は、相互に依存し、また対立するもので、常にバランスをとって共存しています。
少し難しいので例を挙げましょう。夜は暗く月が出ます。しかし夜はずっと続くことはなく、やがて朝が来ます。朝が来ると月が沈み今度は太陽が出ます。太陽が昇ると昼になりますが、ずっと昼であることはありません。やがて日が沈み夜が来ます。
この流れでいうと、『夜』や『月』は『陰』であり、「昼」や「太陽」は「陽」です。私達の生活している環境は、ずっと夜が続いたり月が出ているわけではなく、日々移り変わっているものなのです。つまり、ずっと陰。ずっと陽。というものは無く、常に陰と陽が変化し続けて、私達の生活している環境は成り立っているのです。
五行説
五臓とそのつかさどる機能
肝: 自律神経系、情緒など
心:心臓の循環機能、意識など
脾:消化・吸収機能、水分・栄養の代謝など
肺:呼吸機能、皮膚機能など
腎:生命維持機能、生殖系、泌尿器系など
五行説は「すべてのものは【木火土金水】という5つの基本要素から成り立っている」という考え方です。これらは、いずれも互いに深く関係しており、バランスを取り合って成り立っています。
これは【木火土金水】だけでなく、これらに分類されたものも、上の図のように作用し合います。例えば「火」に分類される「心」に注目してみましょう。
火が土を作り出すのと同様に、東洋医学では心が脾の働きを補うとされます。つまり、心が衰えれば脾にも影響し、脾つまり消化器などの弱りが出てくるとされています。これは現代主流の西洋医学に当てはめても同じことが言え、例えば心臓の悪い動物は膵炎を起こしやすく、膵炎になると食欲低下や嘔吐下痢などの消化器症状がでます。
次に火と水の関係を見てみると、水は火を消します。つまり、水が強くなりすぎてしまうとを火を弱めてしまうということです。これは先程と同様に西洋医学でも説明がつき、腎機能を強めようと点滴を多くすれば、心臓に負担がかかって、心臓が弱ってしまいます。
気血津液
身体の中には気、血、津液が巡回しており、これらのバランスによって体内の調子は保たれています。それぞれ不足したり、流れが滞ってしまったりすると体調が崩れてしまいます。
それぞれの働き
気:生きる力、生命エネルギー
血:全身を巡る栄養物、思考の源
津液:全身を潤す、血液以外の体液
気血津液のバランスが崩れないよう、補い巡らせることが大切です。
どれかの成分がなくなったり、全身にうまく巡らずに滞っていたりすると、心や体に不調のサインとしてあらわれます。
バランスを崩す原因は体質だけでなく、そのときの体調にも影響を受けます。
心と体の状態と向き合って不調のサインを感じたり、バランスが崩れているかをとらえ、補ったり巡らせる養生をすることで然に病気を防ぐのが漢方の考えです。
五性
身体を温める物か、身体を冷やす物かを表します。
熱性:最も身体を熱くさせます。元々身体に熱が溜まっている場合は避けましょう
温性:身体を温めます。
平性:身体を温めもせず、冷やしもしません。どの体質の動物でも使いやすい食材です。
涼性:身体の熱を取ります。
寒性:身体を冷やします。元々身体が冷えている場合は避けましょう。
熱性と温性は陽に分類され、体を温める。体の冷えをとる。血流を促す。といった作用があります。
寒性と涼性は陰に分類され、熱を下げる。体を冷やす。利水させる。といった作用があります。
五味
食物の味を5種類に分けたものです。五味は五臓と密接に関連します。
この五味は味覚と一致してることが多いですが、必ずしも味覚と一致するとは限りません。
酸味
酸っぱい味。収斂し、引き締める作用があります。止血、止咳効果もあります。専門的に言えば収斂・固渋の作用があります。
苦味
苦い味。利尿させたり吐き出させたり、湿を排出させる作用があります。専門的に言えば清熱・燥湿・降気・解毒の作用があります。
甘味
甘い味。気や血を補い、脾胃を整え、痙攣を軽減させる作用があります。専門的に言えば補益・和中・緩急の作用があります。
辛味
辛い味。邪気を散らし、気血の流れを促す作用があります。専門的に言えば発散・行気・活血の作用があります。
鹹味
塩辛い、しょっぱい味。しこりなどの塊を軟らかくしたり宿便を軟らかくして排便させるような作用があります。専門的に言えば軟堅・散結・高下の作用があります。
帰経
食味がどの臓腑経絡の機能に有効的に働くかを示します。
酸味は肝経に入り、苦味は心経に入り、甘味は脾経に入り、辛味は肺経に入り、鹹味は腎経に入ります。
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