~ペットの薬膳・東洋医学~生姜をペットに与えると得られるメリットを獣医師が解説

薬膳

生姜は身体を温める作用が強い食材です。身体が冷えてしまった場合に使いましょう。
しかし、温めて発汗させるような作用があるので、体力がない弱っている場合に沢山使用するのは避けましょう。

性質

五性:温  五味:辛  帰経:肺脾胃

主な適応

風邪、冷えによる消化器症状、胃寒、食欲不振、乗り物酔いなど

主な作用

  • 血圧上昇・発汗解熱作用
    正常な状態のマウスに生姜を与えても、体温の変化や発汗作用はないが、発熱しているマウスに対しては発汗を促し、明らかに解熱作用を示します。つまり、熱がある場合は発熱させる事で汗をかかせ、それにより結果的に身体を冷ます作用があるのです。

    また心臓や呼吸、血管運動中枢興奮作用があります。

  • 抗酸化作用
    ショウガの抽出物が抗酸化作用を持ちます。

  • 抗菌作用
    辛み成分のジンゲロンはブドウ球菌、トリコモナス、真菌を抑制する作用を持ちます。

東洋医学的な効能

身体を温めることで、各症状を落ち着かせます。
発表、温中、温肺、解毒、解表、止嘔、止咳など。

陰虚に場合や内熱がある場合は注意しましょう。
生の生姜は辛く発散させる効能が強く、熟は身体の中から温めるような効果があります。皮は涼の性質があり、利水消腫の効能があります。

体質相性の解説

生姜は温性で胃腸を温めます。そのため、「気血両虚」で胃腸が弱っている場合や、「陽虚」で冷えている場合には適したものです。

また、辛味のため発散の性質もあり、節々の痛みによりブルブルと震えたり、寒さが影響してのカゼにも効果があります。しかし、脱水などがある陰虚の場合は発汗によってさらに陰液、体液を失ってしまう恐れがあるので、控えましょう。

温性で気を昇らせる性質を持つため、肝陽亢盛で高血圧の方にも適しません。また、東洋医学では皮膚病は身体に溜まった熱が原因となることもあるとされる為、皮膚病がある場合は控え目にしましょう。

性味

四性が温である事から、身体の冷えを取って、身体を温めてくれる食材です。

五味が辛である事から、肺を整え、滞っているものを発散させてくれる食材です。また気血の流れも良くしてくれ、風邪や消化不良にも適しています。

辛味の温性は、身体を温め、気血の流れを改善し代謝を上げることで体調を整えてくれる食材です。しかし、身体が発熱に耐えられないほどに体力が弱っている場合に、多量に食べると逆に負担になっていまうこともありますので、身体の調子に合わせて量を調節しましょう。

帰経

脾は食物(水穀)の消化吸収を行います。そのため、脾が衰えると水穀から得られる血や津液も虚し、気の不足へと繋がっていきます。山芋は健脾作用があるので、脾を働きを良くすることで、気虚証への効果も発揮します。

また、脾を補うと津液の巡りを良くなり、身体に潤いを与えるだけでなく、津液の滞りによるむくみなどの解消にも繋がります。

肺は気を下ろし全身に巡らせる働きがあります。温の性質が肺に入りやすい食材であるため、肺の気の巡りを改善し、肺を温め、咳を止めてくれます。そのかわり、陰虚証の場合や、肺に熱がこもっている場合は逆に悪化させてしまうこともあるので気をつけましょう。

胃は脾と表裏一体の関係にあります。脾が悪ければ胃も悪くなりますし、胃が悪ければ脾が悪い可能性があります。

生姜は胃にも入る食材である為、脾が衰え、更に胃も弱ってしまい、食欲不振だけでなく嘔吐なども起こしてしまうような場合にも使えます。

特徴的な栄養成分

  • ショウガオール(抗ガン、抗酸化)
  • ジンゲロール(抗炎症)
  • 白血球増加因子
  • テルペン類
  • オレオレジン
  • ジンギベレン
  • クルクメン(抗うつ、唾液分泌促進)

多数の優れた成分をもちます。ショウガオールは辛味が強く、発ガン物質を無毒化するといわれています。有効成分が特に多いのは皮の部分です。

初旬のものは「子姜」といい、醤油漬けや野菜として食べるとよいです。霜が降りた後の生姜は「老姜」と呼ばれ、一層辛くなり薬用として使えるものがあります。干した生姜は「乾生姜と呼ばれ、よく漢方薬として使われます。乾姜は生より発散の力が弱くなりますが、お腹を温める力は強くなります。

ジンゲロール

胃液の分泌を促進して腸の働きを活発にし、嘔吐を止める作用を持ちます。調理により、ジンゲロンに変化します。

ジンゲロン

生姜の辛味成分で強い殺菌力があります。他に食欲を増進させ、新陳代謝を活発にし、発汗作用を高める働きや、血中のコレステロールを減らして、血管を軟化する作用なども知られています。

動物へ使う時のポイント

皮膚病がある場合は症を食べ過ぎると治りにくいという勧告が古文献に記載されています、注意しましょう。また、持を持つ方は食べ過ぎると発作の原因となります。春に食べ過ぎると目の病気を引き起こしやすいなどの勧告も古い文献には記されていますので気にかけてみましょう。

生姜は生魚やナスの煮物など多くの料理によく付け合わされますが、これらは「寒性」や気を降ろす性質を持つ食材と組み合わされる場合が多く、胃腸を冷えから守るという意味で大変良い食材の組み合わせです。このように寒性で体質が合わない食材でも、生姜を用いることでその食材の寒性の性質を和らげることができます。

生姜は生ものに対する殺菌作用もあり、生ものとの組み合わせは非常に良い食材です。しかし、腐った生姜には、肝臓に対して毒性を持ち、発ガン物質になるサフロールという成分が存在します。

加熱して食べたとしても激しい下痢や嘔吐などの症状が現れるため、色が茶色になってる、変な臭いがするなど、生姜の様子がおかしい場合は、味が変わらなくても変質している可能性が高いので、食べないように注意してください。

また生姜は生魚などの生もの以外にも酢、蜂蜜、味噌とは相性が良いです。また、魚の生臭さを取り除く以外にもカニ毒を解毒する力もあると言われています。猫は刺身などの生魚を与える場合は、鮮度の良いものにしましょう。鮮度が落ちると食べなくなる場合が多いです。

しかし動物にとって、カニはあまり消化が良い食材とは言えませんので、与える際は注意しましょう。特に生のカニはやめておきましょう。

漢方薬としての生姜

左が生姜(ショウキョウ)、右が乾姜(カンキョウ)

種類

生姜(ショウキョウ)

生姜は根茎の部分です。

漢方では、生姜と書いて「しょうきょう」と読みます。漢方薬としての生姜は芳香健胃、矯味料のために用いられます。肥大して辛味が強く、切断面がアメ色のものが良品とされます。

乾姜(カンキョウ)

生姜の根茎を蒸して乾燥させたもの。
この生姜を蒸して乾燥するという製法は日本独自の製法であり、中国の場合は単純に生姜を乾燥させただけのものを乾姜と呼びます。

漢方では、ショウキョウより温める作用が強いとされ、熱性薬・補性薬として用いられます。

また、カンキョウは妊娠時の使用は避けた方が良いとされている生薬の1つです。妊娠してる場合は避けましょう。

主な成分

ジンゲロール

主な薬効

解熱、鎮痛、鎮咳、抗炎症

漢方処方

小青竜湯、参蘇飲、大建中湯、当帰湯など

豆知識

茶トラ猫は別名ジンジャーキャットと言われることもあります。これは生姜のような見た目の色の猫と言う事で名付けられたそうです。
茶トラ猫を見かけた時はそっと思い出してみてください。

生姜に見えるかにゃ?🐾

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