ここに載せている国家試験の過去問は一般財団法人 動物看護師統一認定機構HPから引用しています。参考にしてください。
今回は第一回愛玩動物看護師国家試験、必須問題の第1~10問の解説をしていきます。
問1 愛玩動物の虐待におけるネグレクトはどれか。
① けがを放置する。
② 蹴る。
③ 酷使する。
④ 拘束する
⑤ 恐怖感を与える。
答え:1
問1 解説です↓

動物虐待って色々種類がありますよね。
その中でもネグレクトというのは特に「しない」ことを指します。ご飯をあげ「ない」、掃除を「しない」、放置、無視などです。
なので、暴行や暴言など、何か危害を与えるようなものはネグレクトではありません。
問2 動物の細胞小器官でないのはどれか。
① 核
② 細胞膜
③ 葉緑体
④ ミトコンドリア
⑤ 小胞体
答え:3
問2 解説です↓
動物が好き、動物関連の仕事がしたい。という声はよく耳にしますね。ではその動物はどこからでしょうか。サンゴって動物?アメーバは?
その基準として細胞レベルでの簡単な動物と植物の違いをおさらいしておきましょう。

植物特有の葉緑体は光合成をするためにあります。動物は日光浴びてるだけで成長するわけではないので、葉緑体はありませんね。
また、植物には細胞壁があるので、植物を食べて消化する為には、細胞壁を壊す必要があります。その為に、草食動物は消化管が発達しており、消化管内の微生物から助けを得ているのです🐰
問3 猫の歯式はどれか。
① 切歯:3/3、犬歯:1/1、前臼歯:4/4、後臼歯:2/3
② 切歯:3/3、犬歯:1/1、前臼歯:3/2、後臼歯:1/1
③ 切歯:0/4、犬歯:0/0、前臼歯:3/3、後臼歯:3/3
④ 切歯:2/1、犬歯:0/0、前臼歯:3/2、後臼歯:3/3
⑤ 切歯:3/3、犬歯:1/1、前臼歯:4/4、後臼歯:3/3
答え:2
問3 解説です↓
歯式とは、歯の種類や本数を表したものです。
前歯は〜本、臼歯は〜本みたいな感じですね。
犬と猫では、最近だと雑食と言われている犬と肉食とされる猫では、歯の本数が違います。

問4 糖質コルチコイドを産生する臓器はどれか。
① 肺
② 骨髄
③ 肝臓
④ 腎臓
⑤ 副腎
答え:5
問4 解説です↓
そもそも身体の中のホルモンには、糖質コルチコイドと鉱質コルチコイドがあります。これらは、いわゆるステロイドと呼ばれるものになります。どこから分泌されて何をするのかで、これらは分類されます。

とても簡単に説明すると、糖質コルチコイドはストレスに関連するようなホルモンで、鉱質コルチコイドは汗や水分などの調整に関わるホルモンになっています。いずれにしろ、分泌される臓器は副腎ですので、この機会に副腎のどの部位から分泌されるのかについても覚えておきましょう。
問5 内分泌腺はどれか。
① 胃腺
② アポクリン腺
③ 耳下腺
④ 甲状腺
⑤ 腸陰窩
答え:4
問5 解説です↓
内分泌腺と外分泌腺の違いが分かっているのか、が問われている問題ですね。内分泌腺と外分泌腺の大きな違いは文字通り身体の外に出すのかどうかです。
じゃあ身体の外ってどこ?という事になるのですが、身体の外というのは、あなたが考えている身体の周りの空間の他に、食べ物が通る道、つまり消化管も身体の外になります。
更に、構造的な違いが一つだけあります。
外分泌腺は、先程説明したように、外に出すための腺です。そのため、外へ出すための「道」が必要になります。この道を、分泌管や導出管と言います。

抑えておきたい点は
①身体の外とはどこなのか
②内分泌腺と外分泌腺の構造の違い
になります。分からなかった場合は復習しておきましょう。
問6 糸球体が存在する臓器はどれか。
① 子宮
② 卵巣
③ 腎臓
④ 膵臓
⑤ 副腎
答え:3
問6 解説です↓
動物が腎不全になったとき、血液検査で“BUNやクレアチニン”が上がっていると習いますよね。その背景には、腎臓のどこがどうダメージを受けているのかを知ることが大切です。まずは、腎機能のスタート地点、“糸球体”の役割を押さえていきましょう。

糸球体は腎臓に存在する臓器ですね。
糸球体とボーマン嚢を合わせて腎小体。
糸球体、ボーマン嚢、尿細管を合わせてネフロン。
ここが混乱しやすいので出題されやすいです。これは基礎知識になります。応用問題として、糸球体腎炎や尿管結石などへの知識へと繋がっていきますので覚えておきましょう。
問7 卵巣で産生されるホルモンはどれか。
① インスリン
② エストロゲン
③ オキシトシン
④ サイロキシン
⑤ メラトニン
答え:2
問7 解説です↓
犬や猫の場合、多くの動物は若い頃に避妊手術をするので、動物の生殖器の知識は看護師さんなら抑えておくべきポイントです。
特に避妊手術の場合は卵巣だけ摘出する場合と、卵巣と子宮両方摘出する場合がありますので、それぞれの違いは知っておきたいですね。

卵巣から出るホルモンは当然出産に関わるホルモンです。卵子を育てる時期、子供を胎内で育てる時期、出産する時期、子育てする時期と身体は変化していかなければなりません。どれも身体に必要なものであり、単純に同じホルモンを出し続けてれば良いというわけではないのです。
例えば胎内で子育てをする時に子宮が収縮してしまっては、流産してしまいます。でも産まなければならない時に子宮が収縮しなければ子供は産めず、大きくなりすぎて、お母さんの命に関わります。これらを時期に応じて調整しているのが性ホルモンです。
妊娠中はストレスなどで、このホルモンバランスを崩さないようにする事が大切です。
問8 第2脳神経はどれか。
① 視神経
② 動眼神経
③ 迷走神経
④ 嗅神経
⑤ 三叉神経
答え:1
問8 解説です↓
12個ある脳神経の問題ですね。第△神経は⚪︎神経みたいにすぐ出てくるようにしたいところです。単純に記憶問題です🧠覚えさえすれば点が取れる問題ですから覚えましょう。脳筋みたいなこと言いますが、これ以上言いようがないです😂

脳神経の順番は脳の前側から順番に番号がふられています。それぞれの働きとともに覚えましょう✍
問9 通常、雌において、左右4対の乳房をもつ動物はどれか
① 豚
② 馬
③ 牛
④ 犬
⑤ 猫
答え:5
問9 解説です↓
動物によって出産する子供の数は違います🍼
一般的には捕食される側の動物は食べられてしまうことを想定して子孫を残す為に子供の数が多く、捕食する側は子供の数が少ないと言われます。
更に、しっかり子育てしない動物は子供の数を増やすことで生き残りの数を増やす工夫をしているとも言われます🐟
しかし、例外として、巣を持たない草食動物は数が少ないことが多いです🐴1〜2頭くらいですね。理由としては、産まれてすぐに走って逃げられるように、お腹の中で限界まで大きく育てるからです。なので沢山の子供はお腹の中に収まりきらない為、子供の数が少ないのです。
これを念頭に人と関連の高い動物達を見てみましょう。

野生では常に動いて肉食動物から逃げて過ごす馬や牛は子供も少ないので乳房が少ないです。
しかし巣作りをする豚は(一応雑食です)捕食される側ですが、肉食動物の猫達より子供が多いので乳房も多いですね。
犬と猫に関しては、乳腺腫瘍が多い動物ですから、カルテに何番目の乳頭が腫瘍。などと書かなければなりませんから、乳頭数は覚えておきましょう🐶🐱
問10 季節繁殖動物はどれか。
① 牛
② 犬
③ 鶏
④ 豚
⑤ 馬
答え:5
問10 解説です↓
人のようにいつでも出産が可能な動物は実はそう多くはありません。
自然界においては、植物など、沢山の食材が手に入る時期に出産する方が子供が生き残れる確率が増えますね🍀
動物の身体は日照時間(太陽の出ている長さ)で繁殖がコントロールされており、これにより自分達の都合に合わせた子孫繁栄が出来るのです。このように日照時間で繁殖がコントロールされている動物を季節繁殖動物といいます。
この季節繁殖動物は大きく分けて長日繁殖動物と短日繁殖動物の2種類あります✌


長日繁殖動物は日が長くなる春〜夏にかけて発情、交配をむかえる動物🌳
短日繁殖動物は日が短くなる秋〜冬にかけて発情、交配をむかえる動物です☃️
動物は基本的には食べ物が多くなる春に出産することが多いのですが、それぞれ動物によって妊娠期間は異なるので、春に出産するために交配するべき時期が変わってくるのです。
このような季節繁殖動物と対比して、季節に関係なく一年中繁殖することが可能な動物を周年繁殖動物といいます。
人と暮らすようになり、季節と関係なく繁殖を行う動物も増えてきましたが、それぞれの動物の特徴として覚えておきましょう☀
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